MRセンサのお話
空気圧シリンダ用センサスイッチは、実は近接スイッチの中で出荷No1!
ピストンに内蔵された磁石を検出し、更にセンサスイッチの取付位置を変えることにより、どの位置でも簡単に検出できます。
簡単に使えることで、空気圧機器が急激に発展しました。
Fig.センサスイッチ付きシリンダ ㈱コガネイ カタログ引用
1.なぜ磁気抵抗サンサ
物理量を検出するセンサは光、次回、静電気、歪、音波など色々あります。
電磁弁で空気圧シリンダのロッドを移動させても、本当に移動したかを知る為にセンサスイッチがあります。
ロッドの位置を検出するセンサスイッチがあってシリンダは一人前です。
シリンダは金属性なので、光、音波、静電気は使いにくいですね。
先駆者達は、磁気センサだったらピストン内に磁石を内蔵する事で何とかなると考え、最初はリードスイッチで磁石を検出する方法を取っていました。
私がセンサスイッチに出会った1983年頃は、試行錯誤で作っていたようです。
世の中の磁気センサではホール素子(ホールIC)が家電で多く使われていますが、センサスイッチでは磁気抵抗素子(MRセンサ)が使われています。
ホールセンサーが使えない理由
・センサ形状とその感度方向、磁石の位置関係がホール素子では成立出来ないこと。
・ホール素子は感度方向が基板に対して一軸方向であること。
・感度―温度補償が必要で基本的に定電流回路になり回路が複雑になること。
MRセンサが使える理由
・センサ形状とその感度方向、磁石の位置関係がホール素子では成立すること。
・基板にブリッジ構成がつくれる為、温度補償が不要であること。
・X-Zの2軸間感感度を構成することにより、擬似サイン出力を得られること。
・カスタム仕様のセンサが出来ること。
などなどです。
詳しくはおいおい説明しますが、ココが開発キーワードです。
2.実際のMRセンサは
MRセンサの外観 浜松光電HP引用
私はハメウェル、旧NEC(現在ムラタ製作所)、旧日本オートメーション、浜松光電などのMRセンサを使った経験があります。
ハードディスクなどで話題となったGMRなど、磁気収束型はいずれも適合出来ませんでした。
これは、前項で記載した前提が成り立たなかったからです。
MRセンサはセラミック、パイレックスガラス、シリコンウエハなどの基板上に磁性体金属幕を蒸着によりスダレ上にパターンを構成しています。
ハーフブリッジは2素子、フルブリッジは4素子構成です。
現在はMRセンサの小型化と周辺回路の進化でフルブリッジが主流です。
基板のパターン図 浜松光電カタログ引用
雑誌 特殊鋼58巻6号P6やさしい磁性材料引用
浜松光電カタログ引用
基本特性は磁界に対して出力の極性を持たず、磁性体の飽和特性となります。
軟磁性体の初期化特性は横軸H磁界と縦軸B磁束密度で表せ点Oから点Bsまでとなり、MRセンサの出力と一致します。
原理は省略しますが、このことより磁束密度とMRセンサの抵抗変化とが比例していることが分かります。
開発者としては重要です!